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ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
(2010/09/22)
テッド・チャン、クリストファー・プリースト 他

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時間SFは私の大好物。
だけど正直、こんなにもバラエティ豊かなものだとは思っていなかった。
単に過去や未来を行き来するオーソドックスなタイムパラドックスもの、同じ時間がループする世界、場所によって流れる時間の速度が違う世界、はたまた、時間が造られている舞台裏(?)まで、本当に様々な趣向の物語が網羅され、とても贅沢な一冊。
山本弘さんは「SFは筋の通ったホラ話」と語ったが、的を射た言葉だとつくづく思う。
(で、私としては、筋が通らないものをファンタジーと呼ぶのかなと)
すべてを挙げるのは大変なので、いくつか印象に残ったものの感想を。

■商人と錬金術師の門(テッド・チャン)
千夜一夜の形式で語られる3つのショートストーリーはどれも味わい深い。
この物語では、過去は変えることができないものとして定義される。では、変えられない過去に旅する意義はどこにあるのか。

"過去も未来も変えることは出来ない。けれど、よりよく知ることは出来る"

大いに納得。ちょっと目からウロコだった。

■限りなき夏(クリストファー・プリースト)
人生で、一番輝いている幸せな夏の一日に、突然凍結された恋人たち。
そして、何故か一人だけ先に元に戻ってしまった男は、毎日、恋人の「活人画」をただ眺め続ける。
とても切ない物語だけど、私としては凍結者の視点の物語も読みたいなぁ。

■彼らの生涯の最愛の時(イアン・ワトスン&ロベルト・クアリア)
"マックドナルド"(決してマクドナルドではなく)がタイムトラベルに最適の場所とは(笑)。
とうてい有り得ないだろう設定なのだけど、主人公の執念に打たれる。
失敗の連続で"リセット"を繰り返し…ああ、なんだか全く違うお話なのに、北村薫の「リセット」を思い出す。
人の想いの強さは時間をも超えるのか。

■世界の終わりを見にいったとき(ロバート・シルヴァーバーグ)
ただの物見遊山として「世界の終わり」見学ツアーに参加した自慢話に興じる人たち。
自らの足元が、音を立てて崩れていることにも気付かずに…。
強烈な皮肉。だけどこれって時間SF…なのかなぁ。

■昨日は月曜日だった(シオドア・スタージョン)
これはSFというよりファンタジーの領域だなぁ。
「役者」と「舞台裏」
もう少しお話を膨らませれば、面白い童話が1本書けそう。

■旅人の憩い(デイヴィッド・I・マッスン)
場所によって時間の流れる速度が違う世界の物語。
速度が遅くなるにつれて、どんどん名前が長くなっていくのが面白い。すごい発想だと思う。
召集され、戦地に赴く主人公。彼が戦地で過ごすわずか数秒の間に、残された家族はどんどん年をとってゆく。
しかも自分が参加させられているのは、考えるのも恐ろしいほど無意味な戦争。
切なく、とても印象深い物語だった。

■いまひとたびの(H・ビーム・パイパー)
死の直前に、子どもの頃に戻ってしまった男の物語。
"人生やり直し"パターン。
だけどそううまくいくものかなぁ。だって、過去が変えられるものなら、自分が知っている賭け事の結果だって、どんどん変わってしまう気がするよ。

■ここがウィネトカなら、きみはジュディ(F・M・バズビイ)
自分の人生を、意識だけタイムリープしながら、細切れに生きる男の話。
奇妙なタイトルの意味も、そういうことかと納得させられる。
若い意識で自らの臨終に接し、次の瞬間には胎児として母親の胎内にいる。
…なかなかに耐え難いことだと思うのだが、生まれながらにそうであれば、それが普通だと思ってしまうのかな。
だけど、閉じた輪の中を往ったり来たりしているに過ぎないと思っていた彼は、ある日、自分の愛する人もまた、同じ"体質"なのだと知る。

意志を強く持てば、変えられないものなどない。

エンディングの大いなるカタストロフィに大満足。締めくくりにうってつけの物語。


お終いまで読んで、つくづく思う。
ああ、私は、きちんと収束する物語が好きなのだなぁ、と。
いいところまで語り、さんざん盛り上げて、役者と舞台装置だけ残して「あとはご自由に」的にぽんっと物語を放り出されるのはたまらない。
往々にして、短編にはそういうものが多い。で、想像力の貧困な私は、消化不良な気持ちを抱えて悶々としてしまうのだ。

ラストがこのお話で良かった。

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日々子育てに仕事に大忙し。
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そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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