スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キミは知らない

キミは知らないキミは知らない
(2011/05)
大崎 梢

商品詳細を見る

久々にわくわくハラハラドキドキする本に出会った。
タイトルとカバー絵を見て、もっと静かなお話かと思っていたのだが、さにあらず。
まるでジェットコースターのように話が展開しまくる、「巻き込まれ」系の物語であった。

とにかく主人公の悠奈のキャラがとても良い。
いきなり誘拐されたりお嬢様のように扱われたり、かと思えば突然命を狙われたり、と作中では実に忙しい身の上なのだが、そんな中にあっても決して流されない強さをもっている。抗えない運命の中にあっても最初から最後までブレない。そういうところに非常に好感が持てた。
彼女は、決して自分のアイデンティティを求めて自ら火中の栗を拾いに行ったわけではないのだが、最後には自分のルーツや置かれている立場、父親の真実、そういうものをしっかりと受け止めて、自分の立ち位置を定めてゆく。
何より、どんな窮地にあっても「ことん」と眠れる。これはすごい。
人間、追い詰められてもどうしようもなくなっても、きっちり眠れる大胆さがあればなんとか生きられる。そういうもんだ。


さて、この物語の中では、"血"というものが大きなテーマとなるわけなのだが。

血統ってなんなのだろうなぁと時々思う。
実は私は、"自分の血を繋ぐ"ということに全く興味が持てない。
巷間よく聞く「自分の血を引く子がほしい」だの「彼の血を継ぐ子がほしかった」だのについてもぜぇんぜん理解できないのだ。子を持てば変わるかと思ったが、今のところ変化はない。
夫には「ほんとに女か?」と訝られる始末。
子どもたちにも「別にムリに結婚とかしなくていいよ」なんて言ってるぐらいなのだ。
それは、私が自分という存在が根本的に嫌いだからなのかもしれないが、たぶん自分の事が大好きだったとしても、同じように考えた気がする。

だって。
伝統だの血筋だのと大仰にかまえてみても、人類が滅べばそんなものなんの意味ももたないし、第一自分の死後のことなどはっきり言ってどうなろうと知ったことではない。
むしろ。
一人ひとりの遺伝子がばらばらなほうが、未来の変化が楽しいじゃないか。
同じような血を受け継いで繰り返してゆくより、どんどんどんどん新しい血を入れて多様性を持つほうが、明日の人類のためになる気が私はするのだな。

なので、この物語の中で、頑なに血統を守ろうとしたり、逆に絶やそうとする人たちの気持ちは、はっきり言って私には理解できない。
だれかを犠牲にしてまで守ろうとする伝統ってなんなのだろう。
でもまぁ、ほんとのところは、守りたかったのは伝統とか血筋じゃなく、利権だとか名誉だった気はするのだけども。
大人ってキタナイよね(笑)。

私は、できることなら、大したことない自分のナニモノかを守るために、自分の子や周囲を犠牲にするようなことはしたくないと思う。

エンディングは、ちょっと甘いけれど、それもまたいいな、とニヤリとした。
悠奈は、いったいどんな大人になるだろう。
願わくば、悠奈のような未来のある子が、周囲の思惑に歪められることなく、自分の思うまま真っ直ぐ生きていける世の中でありますように。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑わくわくハラハラドキドキしたい人~
スポンサーサイト

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)プリンセス・トヨトミ (文春文庫)
(2011/04/08)
万城目 学

商品詳細を見る

大阪ええとこ一度はおいで。酒は美味いしねーちゃんは……
オモロイで。

とか言いつつ、実は私、大阪が嫌いでした。
高校生の頃、父親の仕事の都合で四国から関西に移り住むことになり、生まれて初めて身近に接した大阪民族(?)そして何より大阪弁に、最初は強い拒絶反応があったのです。
大阪弁が、非常に馴れ馴れしく、かつ高圧的に感じたんですよね。
それが今やすっかり大阪になじみ、ボケにボケ返し、あまつさえノリツッコミまでこなしてしまうという、"大阪のおばはん完全体"と化してしまった私。こんな私に誰がした。

大阪という場所は、遠巻きに眺めていると、なんだか怖い異質なところ。でも一歩中に踏み込んでしまえば、これぐらい愉しいところもないのです。
確かに、日本の中で国として成立するのは、大阪と、あとは独自の文化を持つ名古屋ぐらいかなと思う。
だからこそ、このお話のような突拍子もない設定も、「大阪ならあるかもなぁ」と受け容れられるのでしょう。

ただ、このお話、序盤のテンポがあまり良くなくて、物語がなかなか滑り出さない。
「プリンセスはいつ出てくるん?」「大阪全停止せぇへんやん」
前評判で散々宣伝されていただけに、その分なんだかイライラが募るのです。
中盤に入ってようやくストーリーが進みだすと、後は終わりまで一気に疾走してくれるので、それまでのガマンなのですが、もう少し序盤でぐいぐい引っ張ってほしかったなぁ。

「大阪国」の成り立ちや秘密を守り続ける理由については、普通に考えるとあんまり説得力はありません。
でも、これもやっぱり「大阪」だったら有り得るかもしれない、という気はします。
ただ、あるとしたらそれは作中のような高尚な理由ではなく、
「なんかオモロそうやし」
みたいなノリかもしれないなぁと思うのです。
"わかる者だけにわかる符丁"って、なんだかわくわくするし、秘密の共有はみんな大好きですやん。

でもなぁ。
なんかなぁ。財政的な面で、本当にそれでいいのか「大阪国」…
ツッコミどころ満載だし、なんだかどさくさに紛れてムリヤリ納得させられてしまったような点が残念。
なので、打ち上げられた花火は派手なのに、どことなく不完全燃焼感が残ってしまった。

ま、最後に大阪のおばちゃんの溜飲も下げられたわけだし、

終わりよければすべて良し、かな。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑大阪良いとこ一度はおいで♪

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

ムスメの趣味的なもの

我がムスメの趣味のひとつが「消しゴムはんこ」です。

手先の不器用な私には全く考えられない趣味ですが。

このまえ、まどマギの「キュウべえ」をオーダーしたら、その日のうちに彫ってくれました。

110614_2147~0001

ちょっとボケちゃってますが、なかなかかわいくできてます。

で、押したらこんな感じ。

110614_2225~01

まだまだ作品はいっぱいあるので、またぼちぼちアップします。

テーマ ヒトリゴト
ジャンル | 小説・文学

太陽の塔

太陽の塔 (新潮文庫)太陽の塔 (新潮文庫)
(2006/05)
森見 登美彦

商品詳細を見る

相当ネタバレあります。未読の方は要注意!


濃い赤錆色一色の世界から淡い薄暮の空へと。
まるでグラデーションがかかったような、見事な心象風景の移り変わり。

前半には、これでもかとねっとりむさ苦しい男子学生の生活が描かれる。
ところが「Gキューブプレゼント大作戦」などにうかうかとノセられて爆笑していると、いつのまにか「叡電」に揺られ、非日常の心象世界へと運ばれるのだ。
それがまったく不思議ではないものとして描かれる。びっくりするほどのファンタジー。

思えば、太陽の塔ほど不思議な建物はない。
その昔、太陽の塔は日常として私の生活圏に鎮座していた。
通勤電車の車窓から毎日見ていたのだ(!)
日常に存在していながら、その非日常的存在感は圧巻だ。
過去・現在・未来の顔が塔にくっついているという、その存在自体が既にファンタジー。
実は、太古の顔までが本当はあったらしい。それが何故か現在は失われているというミステリーさえもある。
当に宇宙遺産。


読み終えたあと、何故か心がきゅっと苦しく切なくなった。

なんて純情な"ストーカー"。
彼女に別れを告げられたときも冷静に握手をして別れ、自分の心に蓋をして「彼女は断じて恋の対象ではなく一つの謎だ」などと虚勢を張り、愛車「まなみ号」(もちろん自転車)を駆って、かつての恋人であった「水尾さん研究」を淡々と続ける。
そして同じ"水尾ストーカー"の遠藤の背中をついつい押してしまう。

クリスマスイブに決行された「ええじゃないか騒動」の最中、酔ったように「ええじゃないか」を叫ぶ群衆のなかに水尾さんを見かけた主人公が

「どうでもええわけがない。どうでもええわけがあるものか」

と、彼女への想い、未練を初めて認める怒涛のクライマックスは圧巻。
彼は思い出す。水尾さんと別れた後、本当は降りしきる雪の中でこらえ切れず涙をこぼしたこと、彼女の仕草、嗜好、彼女と過ごした日々。
そこに至る表現力のなんと見事なこと。言葉のラッシュに大いに酔わされた。


叡山電車から降り立った彼が見た風景。
太陽の塔を胸を反らせて精一杯見上げる彼女の横顔が印象深い。


だれもが皆なにかしら間違っている。
間違っているから、美しい。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑押したらええじゃないか

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

恋文の技術

恋文の技術 (ポプラ文庫)恋文の技術 (ポプラ文庫)
(2011/04/06)
森見 登美彦

商品詳細を見る

相変わらず森見さんはすごい人だ。
(「凄い」というと何だか怖い感じなので、ここではあくまでも「すごい」。)
書簡形式の小説なんてイマドキ別に珍しくもないけれど、一方からの目線の、しかも手紙のみでこれほど季節感を表現し、それぞれの登場人物の性格を表現し、物語の経緯を語り切っているものにはなかなかお目にかかれない。

ラブリーラブリーこりゃラブリー♪

で、もう終わりにしてもいいぐらい、この一言がすべてを物語っている。
(実は、この言葉だけは絶対書こうと思ってまず書いておいたら、なんだかもうこれだけでいいような気がして、ほんとにこの一言で終わりたいという発作に襲われたことはヒミツ)

登場人物はこのお話でも皆愛らしい。
「ぷくぷく粽」「天狗ハム」「マシマロ」など、そこかしこに散りばめられた森見さんならではの「小道具」も黒光りしている。
(うっかり検索してみたら「天狗ハム」は実在するが「ぷくぷく粽」は見あたらなかった。そりゃそうか。)

そして、それぞれの手紙の最後の宛名と署名がまた笑える。
中でも、非常に小ネタになるけれども「一級ナメクジ退治士」に私はヤラレた。
電車の中で思わず噴き出してしまった。ナメクジ退治士て!しかも一級て!
そう、モリミーの小説にはこういう小さい爆弾がたくさん仕込まれているので人前で読むときには十分注意が必要なのだ。

それにしても主人公の守田クンは本当にシャイな人だよなぁ。
寂しくて人恋しくて伊吹さん恋しくて仕方ないくせに、この文通は「恋文代筆業」を始めるための修行なのだとうそぶく。そして友人に、先輩に、かつての教え子に、森見登美彦宛てに(!)手紙を書いて書いて書きまくる。
その内容は、と言えば、やせ我慢あり、誇張あり、哀願あり、ドヤ顔あり、とバラエティに富んでいて、飽きることがない。中には、読んでいるうちに「この先、ど、どうなるの?」とハラハラする内容もあり、いつしか次の守田クンからの手紙を心待ちにしている自分がいたのだった。
(と言っても、ページをめくればすぐに手紙を手にすることはできるのだが。なんとなく、まだ来ぬ手紙を待つ気分。)
中でも、伊吹さんに宛てて書いたものの出せなかった「失敗書簡集」は抱腹絶倒だった。
こんなの出したら大変だったろうけど、よくこれだけ考え付くものだ。

で、いったいこの物語、どのように着地させるつもりなのか、まさかこのままダラダラと?と少々心配だったのだが、それは杞憂だった。
守田クンが辿り着いた「恋文の極意」。
それは本当にシンプルなものだったが、それだけに目からウロコで、彼の真摯な想いに胸がきゅんとした。

そういえば、その昔、私もドキドキしながら手紙をしたためた。相手が喜びそうなレターセットを選び、気持ちを込めて丁寧に言葉を選んで文章を書き、時々は写真や栞などを添えたりもした。ポストに投函する前の一瞬のためらい(だってコピーでもとらない限り、手紙って手元には出した内容が残らないのだもの。)返事を待って何度もポストを覗くわくわく感。久しぶりにそういう高揚感を思い出した。
手紙って本当に良いものなのだ。

最後の手紙は、果たして思う相手にきちんと届けられたのか。
そして受け取った人はどのような返事を書くのか。
ともあれ、守田クンの未来に幸いあれ、と祈ってやまない。

読み終えた今、心の中は何故かほんわかあったかい。
主人公はお約束のむさくるしい鬱屈した男子学生なのに。

ラブリーラブリーこりゃラブリー♪

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑押すと「ナメクジ退治士1級」になれます(嘘)

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

魔法少女まどか☆マギカ

魔法少女まどか☆マギカ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)魔法少女まどか☆マギカ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
(2011/02/12)
原作:Magica Quartet、作画:ハノカゲ 他

商品詳細を見る
魔法少女まどか☆マギカ (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)魔法少女まどか☆マギカ (2) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
(2011/03/12)
原作:Magica Quartet、作画:ハノカゲ 他

商品詳細を見る
魔法少女まどか☆マギカ (3) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)魔法少女まどか☆マギカ (3) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
(2011/05/30)
原作:Magica Quartet、作画:ハノカゲ 他

商品詳細を見る

いつのまにかすっかりオタクと化していた我がムスメ。
けいおんだのみなみけだの色々買っておるようですが、「まどマギ」もしっかり揃えておりました。
ツイッターで「キュゥべえ」なるもののコスプレを見て、ムスメに「これ何かわかる?」と聞いたら、あっさり「これに出てくるよ」と手渡されたのがこの本なのでした。

アニメのコミカライズってことで、巷の話によればアニメを先に観たほうが吉らしい。
でもまぁいいや。

魔法少女って言葉には、昔から何故かとってもそそられる私。
幼少の頃、猛烈に憧れた「魔法使いサリー」から始まって(ああトシがバレ…orz)「ひみつのアッコちゃん」「魔法のマコちゃん」「ミンキーモモ」、そしてマイナーだけど「魔女はホットなお年頃」。
記憶にあるこれらは、みんな最初から魔法使いかもしくは序盤で何らかの方法で魔法の力を手にする。

だけど、「まどマギ」では、主人公のまどかがいつまで経っても魔法少女にならない。
そこが新鮮。
(ネタバレになるので深くはいえませんが、別の意味ではすでに魔法少女でもあったりするけど)
そして、まどかが魔法少女になった暁には、だれも真似できないほどのとてつもない力を発揮するであろうと、魔法少女勧誘業者(?)の「キュゥべえ」に太鼓判を押されている。
「魔法少女」になると、魔力を得ると同時に、大変なキケンにも身を晒すこととなる。
ただ、それと引き換えに、ひとつだけ、何でも願い事を成就することができるのだ。

一体、魔法少女とは何なのか。
「キュゥべえ」の真の目的とは。
そしてことあるごとにまどかの前に現われ、まどかが魔法少女となることを阻止しようとする「ほむら」の正体とは。


設定はとてもしっかりしています。
単なる魔女っ子モノとは思えぬほど深い。そして切ない。
えんとろぴーだの色々小難しい原理などもわかりやすい喩えで説明されとても親切設計。
絵も、決して上手いとは言えませんが、なかなかしっかり描けてて十分鑑賞に耐え得る出来。

でもこれ、やっぱりアニメで観たほうが良いかもしれません。

何故なら、ラストに向かって壮大になる一方のお話なので、僅か3巻にまとめるのはちぃとばかし無理があるのです。
ながぁくじっくりゆっくりお話を続けてもらえたら、きっととても面白く感動的な物語になったと思います。
それだけに実に残念。
このコンパクトさでは、筋を追うのに必死で感情移入も難しいし、余韻も残らない。


ただ、キュゥべえの外道っぷりはかなり萌えます。
アニメ版はもっと無表情で可愛くないらしいですが、きゅるんとした愛くるしい容貌で相当な外道発言をかますのが個人的にツボ。

あと、カバーを外した本体の表紙絵が遊んでてなかなか楽しいです。
いきなりのネタバレってとこは、やはりこれはアニメを観た人用の本だからってことかしら。
面白いから別にいいんですが。

後ほどアニメもゼヒ観たいなぁと思いました。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑ここを押して魔法少女になってよ!←ムリ

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

アメーバなう
オススメ
プロフィール

道楽猫

Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム
メールはこちら>>

*上(別窓)のメールフォームが表示・動作しない場合はこちら

検索フォーム
今読んでる本
dorakunekoの今読んでる本
リンク
つぶやき
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

BK1
書評の鉄人
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。