スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アインシュタインの神

アインシュタインの神アインシュタインの神
(2010/10/01)
日和 真之

商品詳細を見る

意思を持つ人工知能、とりわけマザーという名を聞くと、私はどうしても、竹宮惠子の「地球へ」を思い出す。
元々こういったテーマのお話は大好物なので、わくわくしながら手に取った。

平凡な若いサラリーマンが、ある日突然ホームレスとなり謎の死を遂げる。
別の会社員は、有り得ない状況による事故で、突然命を絶たれた。

一見何の繋がりもないように見えた、これらいくつかの事件は、実はすべてあるひとつの企業に繋がっていた…。

掴みは、とっても良かった。
真っ暗な地階で突然会社員の身に迫る恐怖の描写などかなり真に迫っており、数々の謎の提示と共にその後の展開に非常に期待を持つことができた。

しかし。
残念ながら、お話が進むにつれ、小説として読むには少々苦しい展開となってゆく。
そもそも、主人公たちが事件に関わろうとした動機が曖昧。
冒頭の、サラリーマンがホームレスとなってしまった事件の経緯も、あまりにこじつけめいていて不自然。
何より致命的なのは、人物に個性があまり感じられないこと。
北斗も長田も圭子も、なんだかみんな薄ぼんやりと良い人たちで、はっきりとした個性を持っているのは羽黒ぐらい。なので感情移入が難しかった。

また、私には登場人物の名前の呼び方が非常に気になった。
「北斗さん」「隆志さん」
当人たちは旧友どうしなのでそれでもいいが、その後の登場人物たちも皆、彼らを下の名前で呼ぶのだ。
ふつう大人が、それも出会ったばかりの人の名を、ファーストネームで呼ぶだろうか。
ここに非常に違和感を覚えた。
なんだか小姑のように細かい指摘をして申し訳ないのだが、物語がSFなどの完全なフィクションの世界であればあるほど、そういった細かい点にリアリティがないと、読んでいてツライのである。

ただ、さすが人工知能を長年研究している作者らしく、現在の人工知能技術の話やインターセル構想については、読んでいてとても興味深く面白かった。
人工知能が意識、というより意思?を獲得してゆく経緯は納得できるものであったし、何よりマザーそのものが人類を制圧しようなんていうぶっとんだ設定ではなく、あくまでそれを人間が利用して理想世界を築こうとする、というあたりが現実的で良かったと思う。

もう少しお話を整理して登場人物にふくらみを持たせれば、とても面白い近未来SF映画ができるんじゃないかな。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑神はサイコロを振らない。インディアン嘘つかない(・_・)
スポンサーサイト

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

ほっと文庫 ゆず、香る

ほっと文庫 ゆず、香るほっと文庫 ゆず、香る
(2011/08)
有川 浩

商品詳細を見る

発売と同時に手に入れたものの、なんとなくもったいなくて封を開けずに置いていたもの。
ようやく読みました。ちなみに入浴剤のほうは未だ使っていません。

読み終えて一番最初に感じたことは、

有川浩らしいお話だなぁ

ということ。

ま、甘さは控えめですが。

言っておきますが、これ決して誉め言葉ではありませんよ。

どや顔が、ね、見えるんですよ、作者の。
「どや、うまいことまとめただろ?」
みたいな。

タイトルに反して、ちっともゆずの香りがしないお話。
これも有川作品らしさ。どうしてこの人の書くお話からは匂いが感じられないのだろう。

それ以上に気に入らないのが、やっぱり視点が自己中心的で一面的なところ。
新しい視点がまるでない。

自分が傷つかないために
関係を失わないために

自分が自分が自分が。
いつもいつもそうだよなぁ、この人って。

こんなステロタイプなお話を読んで、本当にみんな面白いと思ったのだろうか。

伝える

ということは、相手に荷物を負わせるということだと私は思っている。
それを考慮した

伝えない

お話であれば、もう少し納得できるお話になったように思う。

残念ながら、私には

ふーん。

で?

以外の感想が持てなかった。



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑ファンの方に殴られそうな気がします。でもたまには誉めていない感想もいいでしょ。

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

姑獲鳥の夏

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)
(1998/09/14)
京極 夏彦

商品詳細を見る

「この世には不思議なことなど何もないのだよ」

いやぁ、痺れます。
この世界観、たまりません。

正直なところ、ミステリとして読めば、こじつけめいた部分が多く突っ込みどころは多い。
しかしだね、冒頭から京極堂の語りのみでどんどん主人公を、そして読者を別の世界へと引き込んでゆくこの魔力は圧倒的。
認識論と量子力学を駆使して、脳が見せる仮想現実の世界、この世の不確実性を関口相手に滔々と語って聞かせる。

キミが今見ていると信じている世界は果たして現実に存在するものなのか?と。

それを聞かされる関口は、次第に現実と虚構の境目に自信が持てなくなってゆき、我が身の存在自体にさえ疑問を持つに至る。
否、そう誘導されるのだ。

それにしても関口君は京極堂マジックに簡単に引っかかり過ぎだなぁ。
なんだか読んでいる間ずっと、「動物のお医者さん」の二階堂を思い出してしょうがなかったよ。
そりゃあ人をあんなに簡単に操れるなら楽しいだろうな。
京極堂はとても魅力的だけれど、あまりお近づきにはなりくないなと思う。

その京極堂の語る様々な薀蓄の中でも「憑物筋」の解釈は殊に面白かった。
「座敷童子」が、富の隔たりを説明するための「民族装置」であるという説など、なるほど大変に説得力がある。
人は何にでも意味を求める生き物だものね。で、その理由はたいてい後付けなんだよね。
幽霊も妖怪も、現われるべくして現われ、時がくれば自然に消滅する。
人は、見たいもの、その時見る必要のあるものしか見えないものだからね。

そしていよいよ京極堂の圧倒的な憑き物落としのクライマックス。
黒の着流しに晴明桔梗の五芒星を染め抜いた黒の羽織姿で颯爽と登場する京極堂。
絶妙のタイミングで鳴り響く風鈴の音。

痺れます。

私も関口君のことを笑えないなぁ。
京極堂マジックにすっかりかかってしまい、あのようにしれっと語られる"密室の謎解き"も「そんなムチャな」と呆れつつついつい許しちゃうんだから。
納得いかんよ。開いた口が塞がらんよ。でもそういうところ大好きだ。

それにしてもそれにしても。

"見えない"関口と対比する形で"見える"榎木津を配置することで
巧妙に罠を張り巡らせ、読者をミスリードする作者の手管には素直に「参りました」と言わざるを得ない。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑さてあなたの見ているこのブログは実在するのか(・_・)押してみればわかるさ。

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

アメーバなう
オススメ
プロフィール

道楽猫

Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム
メールはこちら>>

*上(別窓)のメールフォームが表示・動作しない場合はこちら

検索フォーム
今読んでる本
dorakunekoの今読んでる本
リンク
つぶやき
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

BK1
書評の鉄人
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。