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占星師アフサンの遠見鏡

占星師アフサンの遠見鏡 (ハヤカワ文庫SF)占星師アフサンの遠見鏡 (ハヤカワ文庫SF)
(1994/03)
ロバート・J. ソウヤー

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知性を持つ恐竜が栄えている、とある星のお話。

恐竜キンタグリオ族は、その獰猛な本能や過剰なほどの縄張り意識を、世襲制の国王の下、国家宗教と理性の力で抑え、非常に強固な文明国家を築いている。地球で言うなら、ちょうど中世ヨーロッパ程度の文明。
文明が栄えているとは言え、未だ天動説が常識という時代設定である。

そんな中、その聡明さと卓抜した才能を早くから見い出された主人公アフサンは、年若くして宮廷に入り、気難しい師タク=サリードに仕えつつ、宮廷占星師を目指して修行を重ねている。

彼らには、大人への通過儀礼として、狩猟と巡礼という二つの儀式をクリアすることが義務付けられている。
狩猟は、その狩りへの欲求と縄張り意識を昇華するための儀式、そして巡礼は、船で大河へと漕ぎ出し、はるか彼方にあるという「神の顔」を詣でるという長い旅。偉大な神の顔を目に焼き付け、終生の忠誠を誓わせるための儀式であるのだ。

主人公アフサンもまた、首尾よく狩猟をクリアし、次期国王であるダイボ王子と共に、ダシェター号に乗って巡礼の旅に出たのだが、手に入れた遠見鏡を使って日々天体を観測するうち、驚天動地の、とある大発見をしてしまう。
数々の書評で"少年ガリレオ"という名前を冠されていることを見れば、彼がどのような発見をしてしまったのかは自ずとわかるだろう。
そして、それと共に、もっと重大な星の危機にも同時に気付いてしまったのだ。

一刻も早く、この事実を皆に知らせねば。

しかし、キンタグリオの民族がそれまでずっと信じてきた"神の存在"を真っ向から否定してしまうこととなるこの発見を人々に伝えれば、当然、自分は異端者として断罪されることとなる。自分に関わる多くの人々を苦しめることにもなるだろう。
アフサンは苦悩する。
しかし、今、伝えなければ、そして行動しなければ、やがて星は破滅を迎えてしまうことは確実なのだ。

アフサンの苦渋の決断は、星を救うための偉大な一歩となったが、その代償として彼が失ったものもまた、非常に大きく痛ましいものだった。

果たして、キンタグリオの星の命運や如何に…。

ということで、非常に続きが気になるところなのだが、とっても残念なことに、この第一作目が出てからもう何年にもなるというのに、続編は日本では未だ出版に至っていないのだ。
何でだ?どんな事情があるのかはわからないが、こんな名作の続編が読めないのは歯がゆくてならない。

キンタグリオの食事や狩りの様子など、少々血なまぐさくグロテスクな部分もあるが、ソウヤーの本領発揮とも言える想像力豊かな異星人たちの物語を、もっともっと堪能したいものだ。

ハヤカワさん、頼むよ!ほんとにもう。

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モンスター

モンスター (幻冬舎文庫)モンスター (幻冬舎文庫)
(2012/04/12)
百田 尚樹

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「本が好き!」様より献本していただきました。いつもありがとうございます!

この作者の本を読むのは「永遠の0」に続き2作目。
「永遠の0」がとても良かっただけに、大変期待をして手に取りました。

元来、考え方が割合保守的な私ですが、実は整形手術に関しては否定派ではありません。
もちろん、程度の問題はありますが、「バケモノ」と揶揄されるほど醜い女性が整形によって見事に変身し、生き難い世の中を少しでも明るく楽しく生きていけるようになるのであれば、むしろそれは歓迎されるべきものではないでしょうか。
第一、女にとって「化粧は社会人としてのたしなみ」なんて言われるのですよ。「美しく身ぎれいに」いることが世の中で求められているのならば、すっぴんとは別人と思えるほどの化粧を毎日毎日飽きずに時間をかけて繰り返す女性と、どんっ!と整形手術にお金をかける女性との間に、それほどの違いがあるとは私には思えないのです。
いずれにしろ「化けて」いるには違いがないでしょう。
なのに何故、「整形美人」はこれほどまでに非難されるのでしょうね。
生まれ持った美しか認められないのならば、「化粧美人」だって同じく非難されてしかるべきでしょう。

一口に整形と言いますが、主人公和子の努力は並大抵ではないのです。
それこそ地を這うような生活をして金を作り、少しずつ自分を変えて行ったのです。
そんな彼女を「バカじゃないか」と嘲笑うことは簡単です。価値観が違えば、彼女が整形に注ぎ込んだ金はドブに捨てたようなものとしか思えないでしょう。
事実、花の季節は短く儚いものです。きっと彼女があのまま無事に生活していけたとしても、他人に羨まれもてはやされるのもほんの一時に過ぎなかったでしょう。

けれども、それがどんな生き方であれ、悔しさをバネにして上を目指すことを私は否定したくありません。
私自身、ほんのささやかなプライドを守るために、他人から見れば本当にくだらないと思えることで血のにじむような努力をして"世間にとっての普通"を手に入れたことがあります。
和子の生き方は、確かに痛ましいけれど、だからこそ、そんな彼女の苦しみが少しは理解できてしまう私がいるのも事実なのです。

人間なんて本当に浅はかな生き物です。
男も女も、等しく皆、見た目や印象でしか物事を判断できない。
美しくないものは、目の端にも入れない。脳が「見なかったこと」にさえできてしまう。

和子がどんどん美しくなり、彼女を取り巻く周囲の反応が見事に変わってゆく様は、読んでいて爽快感がありました。スライムにさえやられていた勇者が、ついにラスボスを倒すまでに成長してゆく「ドラクエ」のプレイを見ているようで、彼女に見惚れる男の姿に「ざまあみろ」と、いつしか私も喝采を送っていました。

他人の人生をああだこうだ言う権利は誰にもないし、彼女に人生を狂わされた男にしても、それは狂ったほうがバカなのです。
和子を悪女だとも思わないし、彼女の人生を不幸だったとも私は思いたくありません。むしろ堂々と自分の人生を最大限に"生き切った"満足の生涯だったのではないでしょうか。

私は、そんな生き方をしたいとはまったく思わないけれど。


花のいのちはみじかくて

苦しきことのみ多かれど

風も吹くなり

雲も光るなり

(林芙美子/「浮雲」)



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日々子育てに仕事に大忙し。
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そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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