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ささらさや

ささらさや (幻冬舎文庫)ささらさや (幻冬舎文庫)
(2004/04)
加納 朋子

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「ささら さや」

葉ずれのような、川のせせらぎのような…

その密やかな音がすると、此の場所と彼の場所の狭間から、愛する人がやってくる。
そして、「さや」のピンチを救ってくれてまた突然去ってゆく。

"家族との縁が薄い「さや」。気が弱く、お人好しで他人に簡単に騙される「さや」。自分がいなくなったら、「さや」はどうなってしまうのだろう。"

その想いが、彼の人をこの世に留まらせてしまっていたのだろうか。


けれど、「さや」は、実は激しく鋭い刃を秘めた「鞘」であり、自分の身の内に在るものを優しく育む「莢」でもあった。

その本質に気付いた時、そして「さや」本人も、前を見つめて歩いて行く決意を固めた時、"彼の人"もまた自分の在るべき場所へと戻っていった。

ただひとつの嬉しい"置き土産"を「さや」の元に残して…。


最愛の夫を亡くし、生後間もない子どもを抱え、健気に生きていく「さや」とそれを見守るたくさんの目が切なくもあり、温かくもあり。

だれからも子育てのノウハウを教えてもらえず、育児本に頼らざるを得なかった「さや」に、「そんなにカタチに捉われなくても、臨機応変でいいんだよ」と昔ながらの子育てを伝授する"三婆"たち。
それを素直に受け容れ、時にちゃっかり頼ったりもする「さや」。
けれど"三婆"たちは決して「さや」の世界に踏み込み過ぎず、適度な距離を保ちつつ手と口を出す。
ああ、こういう子育てっていいなと思う。ある意味理想のコミュニティ。
昔ながらのこういう素朴な"お節介コミュニティ"がどこにでも存在すれば、虐待に走る母も、それに苦しむ子も減るんじゃないだろうか。

ある意味「さや」は周りの人に恵まれ過ぎていたとも思える。
だけどそれは、偏に「さや」の人柄によるものだと私は思う。
「さや」が相手を受け容れたからこそ、相手も「さや」を助けたのだ。
私も「さや」のように、本当の意味での柔軟な人になりたい。
柔軟な人は、一見細くて弱そうに見えるが、しなやかでやわらかいから、ちょっとやそっとでは折れないのだ。

登場人物がみんな個性的で楽しく、題材としては"厳しい"世界のはずが、読後感はどこまでも優しく清々しい。
いつもの「日常ミステリー」も楽しめるし、やっぱり加納朋子はいいなぁ、と強烈に思わせてくれた一冊。
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テーマ 読書感想文
ジャンル | 小説・文学

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日々子育てに仕事に大忙し。
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そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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