スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

姑獲鳥の夏

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)
(1998/09/14)
京極 夏彦

商品詳細を見る

「この世には不思議なことなど何もないのだよ」

いやぁ、痺れます。
この世界観、たまりません。

正直なところ、ミステリとして読めば、こじつけめいた部分が多く突っ込みどころは多い。
しかしだね、冒頭から京極堂の語りのみでどんどん主人公を、そして読者を別の世界へと引き込んでゆくこの魔力は圧倒的。
認識論と量子力学を駆使して、脳が見せる仮想現実の世界、この世の不確実性を関口相手に滔々と語って聞かせる。

キミが今見ていると信じている世界は果たして現実に存在するものなのか?と。

それを聞かされる関口は、次第に現実と虚構の境目に自信が持てなくなってゆき、我が身の存在自体にさえ疑問を持つに至る。
否、そう誘導されるのだ。

それにしても関口君は京極堂マジックに簡単に引っかかり過ぎだなぁ。
なんだか読んでいる間ずっと、「動物のお医者さん」の二階堂を思い出してしょうがなかったよ。
そりゃあ人をあんなに簡単に操れるなら楽しいだろうな。
京極堂はとても魅力的だけれど、あまりお近づきにはなりくないなと思う。

その京極堂の語る様々な薀蓄の中でも「憑物筋」の解釈は殊に面白かった。
「座敷童子」が、富の隔たりを説明するための「民族装置」であるという説など、なるほど大変に説得力がある。
人は何にでも意味を求める生き物だものね。で、その理由はたいてい後付けなんだよね。
幽霊も妖怪も、現われるべくして現われ、時がくれば自然に消滅する。
人は、見たいもの、その時見る必要のあるものしか見えないものだからね。

そしていよいよ京極堂の圧倒的な憑き物落としのクライマックス。
黒の着流しに晴明桔梗の五芒星を染め抜いた黒の羽織姿で颯爽と登場する京極堂。
絶妙のタイミングで鳴り響く風鈴の音。

痺れます。

私も関口君のことを笑えないなぁ。
京極堂マジックにすっかりかかってしまい、あのようにしれっと語られる"密室の謎解き"も「そんなムチャな」と呆れつつついつい許しちゃうんだから。
納得いかんよ。開いた口が塞がらんよ。でもそういうところ大好きだ。

それにしてもそれにしても。

"見えない"関口と対比する形で"見える"榎木津を配置することで
巧妙に罠を張り巡らせ、読者をミスリードする作者の手管には素直に「参りました」と言わざるを得ない。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑さてあなたの見ているこのブログは実在するのか(・_・)押してみればわかるさ。
関連記事
スポンサーサイト

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

アメーバなう
オススメ
プロフィール

道楽猫

Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム
メールはこちら>>

*上(別窓)のメールフォームが表示・動作しない場合はこちら

検索フォーム
今読んでる本
dorakunekoの今読んでる本
リンク
つぶやき
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

BK1
書評の鉄人
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。