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航路

航路(上)航路(上)
(2002/10/08)
コニー ウィリス

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非常に長いこの物語、ひとことで言えば「臨死体験」とはいったい何か?を脳内物質の変化等を見て科学的に検証しようとしている科学者たちのドラマ。
と言っても「フラット・ライナーズ」みたいな胡散臭いその手のSFとは違って(実際物語の中で何度もこの「フラット・ライナーズ」について触れ、それがいかにばかげているかを語る)、至極真面目に作者なりの考察がなされている。

実験失敗のエピソードやいつまで経ってもスケジュールの合わない被験者の話などどうでもいい部分が多くて冗長だ、なんて書評も多く目にするが、その「どうでもいい部分」がたくさんあるからこそ、”臨死体験を薬物投与によって再現しようとする研究者の生活”なるものにリアリティがもたらされるんじゃなかろうか。それがなきゃ、もうどうしようもなく嘘臭い話になっちゃったはずだよ。そもそもあんな薬物を少し投与したぐらいで簡単に”臨死”状態が再現できるわけないんだし、そこらへんが既にSFなんだから。

死後の世界については、私ははっきり”ない”と思っている。
人間はカラダが滅んだら大自然に溶け込み、一体となる。それだけだ。
そこからまた新しい生命が生まれたとしても、それは元の人間とは大きな意味で言えば繋がっているけれど、個人レベルでは繋がってない、私はそう思っている。
だから臨死状態で見る様々なものの正体も、この科学者が推論するようなものだと思う。
けれど、それでも、ネタバレになってしまうのであまり語れないけれど、この物語は私に数多くの示唆を与えてくれた。

ひとつは、人の時間感覚は決して物理的な時間の流れとイコールではない、ということから生まれる私なりの推論。
たとえば、交通事故に遭った瞬間、ぶつかったのは一瞬のはずが奇妙に長い時間に感じられた、なんて体験を語る人はよく存在する。
また、意識を失っていたのは数秒なのにその間何ヶ月も経ったような気がした、と語る人もいる。ドラゴンボールにも”精神と時の部屋”なんてのがあったよね(笑)。
それと同様、人によっては臨死状態が、ずっとずっとずーーーっと、極端な話現実にはその人の通夜も葬式も終わった後もずーーっと続いている、なんてことも有り得るのではないかと言うこと。
つまりね、とっくに死んじゃって骨になって墓に入ってるあの人もこの人も、その人個人の意識時間ではまだ”生きている”のかもしれないなぁってこと。
説明が難しいな。意味不明なこと書いてるんだろうか私は(笑)。

そしてもうひとつは死に行く人にとって「死は決して全ての終わりではない」と思えたこと。
輪廻とかね、そういう話ではない。ただやっぱりそれはひとつの”旅立ち”なのだろうと、なんかすとんと腑に落ちたということ。
いろんなことがすんなり整理され、私なりに納得できた感じがする。

この小説は確かにフィクションであるし、ただのSFだろう。
けれど読み終えたとき静かに涙が流れ私は確かに救われた。
そういう出会いが、時に本にはある。

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そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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