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裏返しの男

裏返しの男 (創元推理文庫)裏返しの男 (創元推理文庫)
(2012/01/27)
フレッド・ヴァルガス

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本が好き!」様より献本をいただきました。感謝!

なんと言っても、表紙絵がいいです。
この表紙にまず飛び付きました。
獲物を探して暗い夜の森を徘徊している途中にふと視線を感じてこちらを振り向いた、その一瞬を切り取ったかのような印象的な一匹の狼の雄姿。月明かりに照らされて、灰色の毛が銀に輝いている。

私、昔から鼻面の長いイキモノが大好きなんです。だから狼はすこぶるいい!
そんなわけで何の前知識もなく読み始めたわけですが。

お、面白かった!
いやー、読んでよかったよ。
読み終えて初めて、タイトルの「裏返し」という言葉に二重の意味が込められていることがわかって驚きました。
体の内側に毛を隠していて、変身すると内側の毛が裏返って外側に出てくる、という狼男の言い伝えを表しただけのタイトルであると読者に思わせておいて、実はそれだけではなく、身の内に隠された狼の本性を、夜になると剥き出しにする、とある人物をも象徴していたというわけなのです。
なるほどなるほど。
そう考えると、なんと秀逸なタイトルであることよ。

正直、序盤は退屈でしょうがなかったのです。
登場人物がことごとく魅力がないし、何より、物語中でいきなりわけのわからない老人と黒人の若者と共にオンボロの羊運搬車で犯人追跡の旅に出るカミーユの行動が意味不明…。
で、これは付いていけない、感情移入が出来ない…と投げ出しそうになってしまいました。

でもね。
カミーユの元恋人である、アダムスベルグ刑事が追跡に加わったあたりから、物語が俄然面白くなってくるのです。
アダムスベルグは「なんとなく直感で犯人がわかるだけで推理らしい推理をしていない」などと揶揄されているけれど、いえいえ決してそんなことはないのです。
ああいう天才は、脳の中で、どこか多次元世界的な世界を構築して、その中で緻密な計算を行って、その結果をアウトプットしているのです。入力と出力の間がブラックボックスだから、普通の人には「直感」としか捉えられないだけなのです。うん、きっとそうだそうに違いないよ(・_・)。

それから、素晴らしいのは何と言っても、老羊飼いの"ハリバン"。
何故かソリマンに"だけ"有効な魔法の杖(笑)を頼りにすっくと立ち、
「油断のならない酒」を皆に振る舞う。
若さと、犯人への憎しみ故に、ともすれば暴走しがちなソリマンを、その杖で「落ち着け」と諭す。
女性に対する礼儀を決して忘れない。
実に素晴らしい。初対面での印象は決して良くないのに、付き合うほどに魅力が増す、こういういぶし銀のような人物は大好きです。
特に、ハリバンとアダムスベルグの会話はウイットに富んでいて、思わずクスっとさせられます。

物語が終盤を迎え、意外な犯人の提示と共に、物語は当に"裏返る"。
そのどんでん返しもお見事でした。

いやぁ、いいなぁ、このシリーズ。
実は、第一作目は未読なのですが、俄然興味が湧いてきました。
第一作目も今後発表される新作も、是非読みたい。

ああ、だけど、あの老羊飼いにはきっともう会えないのでしょうね。
それは実に残念。
私には、いまでも、フランスの片田舎の牧場に行けば、老ハリバンが杖を頼りにすっくと立っているような気がしてならないのです。

「いい足、いいケツ、いい眼」!


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