スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

てるてるあした

てるてるあした (幻冬舎文庫)てるてるあした (幻冬舎文庫)
(2008/02)
加納 朋子

商品詳細を見る

「ささらさや」の姉妹編。
だけど「ささらさや」を未読でも問題はない。
(もちろん併せて「ささらさや」も読んでおいた方がもっと楽しめるけど)

高校受験が終わり、首尾良く第一志望の高校に入学が決まって、お気楽な春休みを送っていたはずの主人公「照代」に、いきなり降りかかる不幸。突然の転落の人生(彼女にとっては)。
まぁそりゃ、"夜逃げ"をした両親と離ればなれになり、見ず知らずの遠い親戚の家にたった一人で身を寄せるはめになるなんて、ごくフツーの子供が受け止めるには、かなり過酷な状況だろう。
しかも照代はなまじお勉強が出来るだけにプライドがズタズタ。

何もかもに"苛立ち"、すべての人に"意地を張り"、"不遜"な態度をとる。
そんな照代の姿は、なんだか自分の少女時代を垣間見るようでこっ恥ずかしい(笑)。
照代は実はよくわかっているのだ。自分に何も力がないことを。そして魅力もないことを。
誰からも必要とされない自分。みじめな自分。それがわかるだけに"突っ張る"しか方法がなかったのだ。
そしてそんな自分が実は一番嫌い。

今の私ならわかる。
「あーあ。なんてまぁ、自意識過剰なんだろね。」
"遠い親戚"の久代さんも、きっとそう感じていたろう。

けれど、不思議な町「佐々良」で色んな人と関わるうちに、照代は成長してゆく。
「壊れた時計は松ちゃんが修理してくれた。ゾンビ自転車だって、見事に甦った。ガラスのリンゴは今頃金魚鉢になって、真っ赤な金魚を泳がせているかもしれない。」
「私も雑草になってやろうじゃんと思う。肥料なんてもらえなくても、たとえほとんど陽が当たらなくても、葉を茂らせ、根っこを張ってやる。たとえ踏まれたって、すぐに立ち上がってみせる。何度でも。」

そして、いつか照代は気付くのだ。自分の母親もただの愚かな人間であり、聖母マリアじゃないってことに。

きっと今の私みたいに、心が狭くて利己的でコンプレックスの塊で感情的でややこしい人間が、ただずるずると歳ばかり喰い、そして父親になったり母親になったりするのだ。
そうして、言っちゃいけないこととか、すごく適当なこととかをぺろっと言ったりする。あまつさえ、さっさと忘れる。子供の心に五寸釘を打ち込んでおきながら。無責任極まりないとはこのことだ。

そこに気付いた時、照代もまた、子供のままではいられなくなったのだろう。
照代の、若く柔軟な思考が羨ましくもある。

ラストに向かうまでに、何度も号泣させられた。電車の中で読んでいたのに(笑)。
人は皆、多かれ少なかれ何かを抱え、時に優しく、時に傲慢に生きてゆく。
願わくば、私も久代さんのように、背筋を伸ばして生きていきたい。

「てるてるあした。きょうはないても あしたはわらう。」

いい言葉だなぁ。
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑よろしくお願いします
関連記事
スポンサーサイト

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

アメーバなう
オススメ
プロフィール

道楽猫

Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム
メールはこちら>>

*上(別窓)のメールフォームが表示・動作しない場合はこちら

検索フォーム
今読んでる本
dorakunekoの今読んでる本
リンク
つぶやき
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

BK1
書評の鉄人
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。