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花の下にて春死なむ

花の下にて春死なむ (講談社文庫)花の下にて春死なむ (講談社文庫)
(2001/12/14)
北森 鴻

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「新鮮な、若鶏が手に入ったので、たまねぎと煮て、たまごでとじて炊きたてのご飯に乗せてみました」


…それはただの親子丼(・_・)。

いいじゃないか。
ただの親子丼でも、『香菜里屋』のマスター風に言うと、途端にごちそうに思えてくるのが素晴らしい。

この本に出てくる安楽椅子探偵役の、ビアバー『香菜里屋』のマスターは、万人受けしそうな年齢不詳な人物。
とても魅力があるんだけど、ちょっとステレオタイプ過ぎかな。よしながふみや今市子にイラストにしてもらえたら、きっと雰囲気出るだろうなぁ。
(どちらもBL系の人だというあたり、私もちょっとアレだな。←アレってなんだ)

肝心のお話の方だが、タイトルにもなっている、最初の「花の下にて春死なむ」は、『香菜里屋』の料理の如く、絶品。でも語りすぎると、せっかくの味が台無しになってしまいそうなので、多くは語るまい。
ただただ胸を抉られるような、切ない切ない物語。草魚の故郷にまつわるミステリーに、早過ぎる桜の開花のミステリーを絡ませ、見事な話の展開だった。

ただ、6つのお話の中には、ちょっと、これはどうかなという残念なものも。
特に「殺人者の赤い手」は、無理矢理なこじつけ感が拭えない。
いくらなんでも、犯人の設定が苦し過ぎて興醒め。都市伝説の誕生秘話は意表を突かれた感じで良かったと思うのだけれどね。
「七皿は多すぎる」も、発想はいいけど、ちょっと納得し難い話だなぁ。
だいたい、毎日人のいない昼間に回転寿司屋を訪れて鮪ばっかり食べるおぢさんなんて、怪しすぎてあまりに目立つでしょ。
作中の人物の創作物語だとしても、あんまり出来は良くないし、オチもあやふや。
私個人としては、この二つは要らなかったんじゃないかなと思う。

ラストは、また第一話に繋がる物語に戻り、これもまた、何とも切ない物語で、ミステリーとしても素晴らしく、クオリティが高い。

冬の寒い日に、温かい布団の中で、美味しい食べ物にヨダレを垂らしつつ(笑)ぬくぬくと、ゆっくりと楽しみたい一冊。

『香菜里屋』のマスターの新しい謎解きは、残念ながらもう決して披露されることはない。
けれど、いまでもひっそりと、本当にどこかの街で、あのマスターは、訪れる客たちに、美味しい料理をふるまい、謎解きに興じているんじゃないか、なんて、楽しい想像をしてしまうのだ。

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ジャンル | 小説・文学

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こんばんわ~

北森 鴻さんは周りで読んでる方多いので、気になってる作家さんの一人です^^
日常のミステリ+空腹小説って印象ですねぇ。近藤史恵さんの空腹小説と雰囲気とかが
似てるような香りがします。

こんばんは☆

面白そうですね。
短編集なんだ~。
この作者サンも未読だし、読みやすそうで興味あります!
道楽猫サンが絶品と言うのだから、期待してしまうな~♪

Re: こんばんわ~

> チルネコさん
お返事が遅れてすみません。
そそそ、空腹小説ですまさに。
でも好みは分かれるやも。
私は、情景が手に取るように見える文章て好きなので
北森 鴻さんは好きです。機会があれば是非。

Re: こんばんは☆

>惺さん
私は実は本って分厚い、いわゆる大作のほうが好きなんですよ。
でも、こういうのを読むと、短編もいいなぁと思います。
チルネコさんへのレスでも書きましたが、北森さんは好みが結構分かれると思います。
でもとても読みやすいので、是非挑戦してみてください。
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Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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