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銀河鉄道の夜―最終形・初期形〈ブルカニロ博士篇〉 (ますむら版宮沢賢治童話集)

銀河鉄道の夜―最終形・初期形〈ブルカニロ博士篇〉 (ますむら版宮沢賢治童話集)銀河鉄道の夜―最終形・初期形〈ブルカニロ博士篇〉 (ますむら版宮沢賢治童話集)
(2001/07)
ますむら ひろし

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カムパネルラ、また僕たち二人きりになったねえ、どこまでもどこまでも一緒に行こう。
僕はもうあのさそりのようにほんとうにみんなの幸(さいわい)のためならば僕のからだなんか百ぺん灼(や)いてもかまわない。

小学生の私は、学校から帰って早速図書館から借りてきた本を開いた。
母は仕事でまだ帰ってきていない。姉もいない。
だれもいない居間。ガラス戸越しに小さな縁側が見える。

そして私は、銀河鉄道に乗りジョバンニとカムパネルラと共に長い長い旅をした――

本を読み終え、はっと気付くと、窓の外は夕暮れ。
薄暗い部屋の中で、私は茫然としていた。


「銀河鉄道の夜」は私にとってとてもとても大切な物語です。
ここまで"本の世界に入り込む"経験をしたことは、その後一度もありません。
私の口から何かを伝えようとすれば、それだけで物語の世界が壊れてしまう
そんな気がして、これまで一度もこの本について語ったことはありませんでした。

だからこそ、私の中では、「銀河鉄道の夜」の映像化は、どんな形であれ、有り得なかったのです。
きっとこれが、ますむらひろしでなければ、決して許せなかったでしょう。

この本を読むより前に、ますむらひろしの猫キャラクターで創られたアニメ版「銀河鉄道の夜」を観ました。
驚愕しました。
私の想像をはるかに超越した、素晴らしい映像でした。
ジョバンニもカムパネルラも、全く違和感なくそこに存在していて、もう私は、ますむらキャラ以外のジョバンニとカムパネルラを考えられなくなったほどです。

その後、この本の存在を知り、躊躇なく手に取りました。
この本の中で、私は初めて「銀河鉄道の夜」には実は決定稿が存在しないこと、初期形と呼ばれる「ブルカニロ博士」が登場する物語と、登場しない最終形があることを知りました。
推敲に推敲を重ねる…宮沢賢治にとって「銀河鉄道の夜」はそれほど特別な物語だったのでしょう。
私が子どもの頃読んだのも最終形でしたが、読み比べてみて、個人的には「ブルカニロ博士」が登場する初期形のほうが良いと思いました。

さあ、切符をしっかり持っておいで。
お前はもう夢の鉄道の中でなしにほんとうの世界の人やはげしい波の中を大股にまっすぐに歩いて行かなければいけない。
天の川のなかでたった一つの、ほんとうのその切符を決しておまえはなくしてはいけない

いまでも、「ブルカニロ博士」のこの言葉を思い出すたび、胸があつくなります。

せつなくて、やさしくて、かなしくて。

「銀河鉄道の夜」はやっぱり、私にとって、とてもとても特別な物語なのです。

■追記
「銀河鉄道の夜」については、KAGAYA氏も素晴らしい映像作品を創られています。
機会があれば是非。
http://www.gingatetudounoyoru.com/

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テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

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こんばんは☆

う~ん、素晴らしいレビューにしばし感動!
決定稿が無いなんて初めて知りました。意外です!

>「銀河鉄道の夜」はやっぱり、私にとって、とてもとても特別な物語なのです。
わかります! 
自分の場合は「スーホーの白い馬」かな。昨年借りて読んだんだけど、やはりいくつになっても号泣。

ますむらひろし氏の存在も初めて知り、とても興味湧きました。
素敵なレビューありがとうございました!


Re: こんばんは☆

> 惺さん
思い入れの強いものはムダに力が入ります^^;
「銀河鉄道の夜」は宮沢賢治の死後に発見された作品だそうです。
だから本当は、まだまだ推敲を重ねていた途中だったのかもしれません。
作者の本当に納得いくものが読めなかったのは少し残念ですが
今残されているものだけでも十分に素晴らしいです。
「スーホーの白い馬」!
あああ、これも名作ですよね!わかります。
で、ますむら氏をご存知ないとな。
では、次は氏の大傑作をご紹介しますね。ふふ。
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Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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