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ナナのこと

飼い猫「ナナ」が2月8日に永眠しました。享年18歳の大往生です。

現在21歳の長男が3歳の頃、遊びに行った公園でかごに入れられた猫を見つけてしまったのがすべての始まりでした。
9月の新学期が始まった翌日の土曜日だったと記憶しています。
まだまだ真夏のような日差しが照りつける中、たった一匹でタオルを敷かれたかごの中にうずくまっていたのが「ナナ」でした。
当時住んでいたアパートはペット禁止。ようやく目が開いたばかりのようで、自力で水も飲めない猫を抱え、途方に暮れたことを今でもはっきり覚えています。
それからは悪戦苦闘の毎日。乳飲み子を育てるのが大変なのは人間も猫も同じ。
数時間置きに、獣医さんにいただいた「針を外した注射器」で猫用ミルクを飲ませ、オシリを刺激して排泄させ、馴れない猫育児にてんやわんやでした。
生後半年ほどの頃に、遊びで興奮しすぎ(?)て心臓麻痺のような状態になり、「ナナが死んでしまう」と大慌てで動物病院に駆け込んだこともありました。

その数年後、あの「阪神淡路大震災」が起こりました。
私の住んでいた場所は、震度7の激震地。幸い、我が家は全員無事でしたが、ナナはすっかり怯えてしまい、抱っこしようとした私の腕をすり抜け、パニックに陥って開いていた裏の扉から外に飛び出してしまったのです。
その後、どんなに探してもナナは見つからず、後ろ髪を引かれつつも遠く離れた知人宅に避難した私たち一家は、1ヶ月近く経って我が家に戻った頃には、ナナはもう帰ってこないだろうと諦めていたのです。
ところが、夜遅く家に帰り着き、明かりをつけた途端、裏で猫の鳴き声がするのです。
必死で喚くその声は、なんとナナのものでした。
どこでどう生きていたのか、ガリガリに痩せ衰え、それでも抱きしめた腕の中でゴロゴロと声を出して嬉しそうに鳴いていた姿が今でも目に焼きついています。

その後は大きな病気もせず、つい最近までとても元気に過ごしていました。
ナナはとても高慢な猫で(笑)、抱っこされるのが大嫌い。そして命令されるのも大嫌い。自由気ままで、夫や息子にはよくなついていましたが、女嫌いなのか、私やムスメに擦り寄ることはついぞありませんでした。
でも、寒くなると寝ている私の布団に「入れろ」とやってきて、時には身を寄せて一緒に眠ったり、私がゴミ出しに外に出ると「にゃーにゃー」鳴いていたり、本当は怖がりで寂しがりやさんなのでした(笑)。
きっと一番愛されていたのは私なのだと、実は心の中では信じています(笑)。
だって私が育てたんだから。私が「おかん」なんだから。

ある日ふと気付くと、黒白のはっきりした毛色だったのが、白い部分が多くなってきて毛艶もなくなり、ぼてっと太っていたのがだんだん痩せて軽くなり、動作も緩慢になって高い場所に登らなくなり、「ああ歳とったなぁ」と感じることが増えていきました。
けれど、こんなに元気なんだもの、近頃じゃ20歳を超える長寿猫も珍しくないんだから、ナナはまだまだ大丈夫!とタカを括っていました。そのうち尻尾が分かれて猫又になって、人語を喋るに違いない、なんて妄想もしていました。

ところが。
ほんの2週間ほど前から、おしっこの粗相を繰り返すようになり、どこでも所構わず垂れ流し状態になってしまったのです。
病気なんだろうか、それとも痴呆?
病院に連れていくのが一番なんだろうけど、病院が大嫌いで、病院へ行ったほうがストレスのため具合が悪くなる子なので、オムツをして少し様子を見ることにしました。
それでもご飯は良く食べ、節分の日には、私の膝に乗ってきて、私の手からもらったイワシを喜んで食べていました。
けれど、それが私の手からものを食べた最後になってしまったのです。
次第に衰弱して、亡くなる前の日には自力で水ものめなくなり、誰の目から見ても、もうだめだというのは明らかでした。
2月8日。どうしても仕事を休むことができない私は、横になって眠っている猫の耳に
「私が帰るまで待っててね。絶対待ってないとだめだよ」
と言い聞かせて家を出ました。
でも結局、ナナは、ずっとそばについていてくれたお兄ちゃんに看取られ、午後4時頃に静かに息を引き取ったのです。
そうだったなぁ。あの子は今まで私の言うことなんか、一度だって聞いたことはなかったんだよなぁ。
最後まで、それは変わらなかったんだね(笑)。でも苦しまなくてよかった。
報せを聞いて電車に飛び乗り、あふれそうになる涙をなんとかこらえつつ、ぼんやりそんなことを考えていました。

ナナは、綺麗なお花に飾られ、静かに眠っているように、小さな箱に納まっていました。
「待っててって言ったのに。どうして?」
私は、身も世もなく号泣しました。
たぶん、父母が亡くなったときより、悲しかったと思います。
こんなことを言うと、酷い人間だと思われるかもしれませんが、結婚して家を離れ、何年も一緒に暮らしていない親より、18年間ずっと一緒に暮らして面倒をみた猫の死のほうが私には堪えたのです。

よく、心に穴があいたような、という表現を目にしますが、私の場合、今は、胸は鉛を入れられたように重く、心がふさがれた状態です。
私があまりにも悲しんで泣いてばかりなので、家族に心配されています。

病院に、連れていかなかったことへの後悔もあります。
でも、友人が数年前に語った言葉がずっと胸にあり、死ぬときは家で見取ろうと決意していたのです。
友人は、飼い猫の容態が急変したときすぐに病院に駆け込み、点滴のため入院させたまま、冷たい病院の檻の中で死なせてしまったと、随分後悔していたのです。
けれど結局、どんな最期を迎えても、なにがしかの後悔は、つきまとうものなのだと思います。
あのときああしていればこうしていれば、と。

私は今、見事なまでにペットロス状態で、実のところなにも手につきません。
でも時はよくも悪くも無情に過ぎてゆき、今のこんな気持ちも、いつか薄れてゆくのでしょう。

「どんないいことも、たのしいことも、
すぎてしまえばかえってこない。
すぎたことは絶対変わらないもの。
いつもそこにあるのよ。
すぎたことだけが、確実に私たちのものなんだと思うわ。
すぎたことはみんな箱のなかに入ってしまうから、絶対になくす心配がないの。すてきでしょう?」

江國香織の「神様のボート」のセリフが心に沁みます。

『一度出会ったら、人は人をうしなわない』

それは猫だって同じだよね。
もう私はナナを失うことはないのです。
心の中の大切な引き出しにしまいこんでいるから、いつでも会える。

一生マンション猫で、ナナにとって幸せな「にゃん生」だったのかどうか、それはだれにもわからないけど、ナナと暮らせた18年は私にとってかけがえのない、とてもしあわせな時間でした。

ありし日のナナさん。青い目がとても印象的な美猫さんでした。

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テーマ ヒトリゴト
ジャンル | 小説・文学

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こんばんは!

人間に例えるなら「老衰」なのでしょうか?
18年とは、大往生ですね。
自分が何を書いても、慰めにもならないですが、ナナちゃんにとって道楽猫家の一員となった後半生はとっても幸せだったのでは?
こうやって悲しんでくれる人間の「家族」がいるのだからね。

道楽猫サンもいっぱいいっぱい悲しんで、
ゆっくりと元気になっていってくださいね。
ナナちゃんのご冥福をお祈りします。

ご冥福をお祈りいたします。

病院に行ってないようですが、18年となると生をしっかり生きたでしょうから、老衰でしょうか。ナナさんんとのいろんな思い出が体中を駆け巡るでしょうけど、苦しまずに天国へいっちゃったこと、そして道楽猫一家で愛情をうけたであろう人生は幸せだったことでしょう。悲しもうが涙流そうが、今はナナちゃんの思いでに浸ってあげてください^^

僕もくるみを拾ってきたときに白猫二匹も一緒だったんですが、仕事休んだかいも亡くなってしまいました。「ああしていればよかったのかな」みたいな事を考えてしまいましたね^^。

道楽猫さんのナナちゃんとの戯れなんかを直接見てはいないですが、この文章から伝わるのは愛情です。ナナちゃんは天国でも幸せにいると思いますよ^^

Re: こんばんは!

> 惺さん
ありがとうございます。
本当は、ネットではだれにも話さないでおこうと思っていたんですけど
ナナという猫がいたことを、やっぱりどこかに留めておきたいなと思って
ついつい書いてしまいました。
こんな、書き殴りに近い文章を読んでくださってありがとうございます。

Re: ご冥福をお祈りいたします。

> チルネコさん
ありがとうございます。
チルネコさんの言葉に救われた思いです。
私は決して良い飼い主ではなかったと思いますが
ナナが少しでも楽しかったと思ってくれたならとても嬉しいです。
まだまだ思い出してはめそめそしてしまってますが
少しずつでも、元気だしたいなと思います。

ご冥福をお祈りいたします

こんな2日も経ってからナナちゃんのことを読み、自分が大好きだった猫と重ね合わせたり道楽猫さんのことを考えたりしてべそべそしています(涙)。黒白はツンデレですね。うちにいた黒白にゃんこもツンデレでした(夫はそんなツンデレにでれでれでした)。ナナちゃんほど長生きはできず15年で亡くなりました。息をひきとるところには立ち会わなかったのだけれど家で最後に生きてる姿を夜中に私は見ました。「ありがとうね」って言ったら動けないのに少しだけ動いたのでわかってくれてるんだなあって思いました。でもこんなこと言いながらその前の年に亡くなった茶トラの子の方が大好きで、その子が死んじゃってから妊娠高血圧症候群になって入院してしまいました(関係ないかもしれないけど、でも私はそれがストレスになったと信じています)。ああ、自分のことばかりでごめんなさい。なんかでも言いたくなっちゃう。きっと猫好きな人はみんな道楽猫さんとおんなじように悲しんだり放心状態になったり悔やんだり感謝したりするのだと思います。
でもでもそんな風にいろんな気持ちを抱かせてくれた、大好きな猫と出逢えたことは絶対絶対しあわせなことだったと思います。そうしてナナちゃんなんてもっともっとしあわせだったと思います!

Re: ご冥福をお祈りいたします

> Maさん
ありがとうございます。
Maさんの優しい言葉が、心の襞に触れてゆっくり気持ちを癒してくれているようです。
人と人もそうだけど、猫と人の出会いも、やっぱり偶然ではないような気がします。
私があの日あの場所でツンデレ猫(笑)を拾ったのも、きっと必然で、ナナが私たちを選んでくれたのだと、今は信じています。
そうそう、"親の死"よりも、のくだり、実は消そうと思ってたのだけど、あちらで共感できるとおっしゃってくださってとても嬉しかったです。
なので、やっぱりそのままにしときます(笑)。
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Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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