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青の炎

青の炎 (角川文庫)青の炎 (角川文庫)
(2002/10)
貴志 祐介

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17歳の男子高校生が、たった一人で、家族を守るために完全犯罪を目論み義父を殺す。

この小説は、犯人側の視点で物語が進む「倒叙ミステリー」のため、どうしても主人公に感情移入してしまい、追い詰められていく主人公と共に自分も追い詰められて行くような気がして精神的にキツかった。
結末は、最初から予想はついてました。破滅に向かってゆっくりと進む時計。

この主人公の気持ち、私にはとてもよくわかるのです。
何故なら私にも彼と同じように苦しかった時期があったから。
彼の場合は、かつての義父。私の場合は実父だったけどね(笑)。
ほんとに殺してやりたいと思っていた。特に高校生の頃なんて学校と家庭以外に自分の場所なんてないもの。その安らぐべき家庭が自分にとって安らぎの場でなかったら。アイツさえいなければ家族は平和だったはずなのに。
あの頃の私はいつも父親を殺すことを考えていたような気さえする。なんとか、なんとか事故にみせかけてアイツを殺せないものか。毎日そんなことを夢想してた。

あの頃に今のようにネットを通じて何でも出来る環境があって、私にもっと頭脳と行動力があったら、もしかしたら実行に移していたかもしれない。なんて。
ああ、なんか怖いこと書いてますね(笑)。まぁたぶん条件が揃っていても実際には私にはそんな勇気も行動力もなかったろうけどね。

だけど彼と私との最も大きな違いは、その動機。私の場合は「家族を守る」なんて純粋なもんじゃなかった。確かに母親のためにという思いもあったけれど、一番の理由は「自分の平安のため」だったように思う。けれど彼は純粋に家族を守るために闘ったんだよね。その方法は間違っていたけれど、その暗い決意があまりにも健気で憐れで泣けてくる。
彼がもっと大人で思慮深かったら、あんなに頭脳明晰な子だもの、もっと他にいい方法も見つかったかもしれない。時を待つ、ということが、けれど若い彼には出来なかった。
最初の頃は主人公の気持ちで読んでいたのが、終わり近くにはもうほとんど「母親」の視点で読み進めていたのはやはり私が人の親だからだろう。

以下ネタバレですのでご注意を。

法律だとか道義的な問題は脇にどけておくとして、彼の行動を私は許せる。とても責める気にはなれない。
けれど最後の行動だけは「人の親」である私には許せない。彼は家族を守ろうとして結局一番家族を悲しませる行動を選んでしまった。親にとって一番の苦しみは、子どもがいなくなることなんだよ。どんな姿でもいいから、生きているということだけでもう親孝行なんだということをわかってほしかった。

ラストではもう涙を止めることが出来なかった。あまりにも痛ましい。
「切ない殺人者」という言葉がほんとにピッタリくる、心に痛い1冊でした。

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テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

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No title

どうもです。

読んだのがかなり昔なので、記憶があいまいですが、道楽猫さんと同じように、主人公に感情移入し、追いつめられていく姿にハラハラした覚えがあります。

彼は最後まで家族を守ろうとしたんですよね。
手段は確かに間違っていましたが。
純粋すぎたんでしょうね、きっと。
自分のせいで家族が傷つけられることが耐えられなかったから、最後の残されたわずかな時間をあんな使い方しかできなかった。

本当に、痛ましく、切ないですね。

gakerさんへ

そうですね、ほんとに痛ましい。
この主人公について「自分本位で浅はか」という批評を見ましたが
そうだからこそ「青」なのだと私は思います。
何も彼が手を下さずともいずれ…だったのに
というところがまた、悔しいのです。
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Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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