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星守る犬

星守る犬星守る犬
(2009/07/07)
村上 たかし

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村上たかしさんと言えば、「ナマケモノがみてた」をヤングジャンプでリアルタイムで読んでいた私にとっては、ちょっと、いやかなり毒のあるギャグ漫画を描く人、というイメージがありました。
でも、一方で「ぱじ」という素晴らしい人情コメディ漫画も描いてる人ですものね、「星守る犬」が面白くないはずがありません。
…「面白い」と言ってしまっていいのかな、という躊躇いはあります。
物語はなんともいえないほど切ないです。本当に。でも、可哀想とは絶対に言いたくない。
だから、やっぱり「面白い」なのです。

正直、この漫画の感想を書くのは精神的にキツイです。
作者もあとがきで書かれていますが、主人公は、ちょっと前ならどこにでもいたごくふつうのおっさんで、こんな悲惨な末路を辿るはずもない人なのです。

ただちょっと、不器用で、家族とうまく関われなかっただけで、ごくごく正直に真面目に働いていた、
本当にただそれだけの何の落ち度もない人が、無縁仏となってしまう…。
なんなのだろう、今のこの世の中。

「愛せなくなった」
ただそれだけで、病気で無職になった夫をほっぽりだす妻。
家族愛よりも個人の意志や自由が優先され、それが当然だと言わんばかりの世論。

某元総理大臣は
「努力した人だけが報われるべきだ」
と嘯いた。

私は
そんなふうに過分に努力しなければ、最低限の生活も保障されないような世の中が
マトモだなんてこれっぽっちも思いません。
身近に暮らす肉親を蹴飛ばしてでも守りたい「自由」なんてクソくらえだ。

主人公のおっさんは、結局だれにも頼ろうとしませんでした。
昔気質の人は、たぶんほとんどの人が、だれかに迷惑をかけることを望みません。
途中で出会った、ストリートチルドレンの男の子には「どこかに相談すること」を持ちかけるけれど、
きっと自分が保護されることなんて、思いつきもしなかったのでしょう。
そしてそれ以上に、自分に寄り添ってくれるたったひとつの存在となってしまった犬と、離れることが耐えられなかったのでしょう。

おっさんの身勝手に、付き合わされる羽目に陥った犬が可哀想だ、との意見もあります。
でも、そうでしょうか。
この犬は、不幸だったのでしょうか。
そしてこのおっさんの末路は、そんなにも哀れなものだったのでしょうか。

幸せか不幸かは、他人に判断してもらうものではないと私は思います。
よく、他国の貧しい国に住む人たちのことを引き合いに出し
「あの人たちに比べれば私はなんて幸せなんだ。贅沢を言うとバチが当たる」
なんていうひとがいますが、それこそとんでもない驕りだと私は思うのです。
何故、同じ立場にいない人が、そんなふうに他人の幸福度をはかれるのか。
路上生活者が、みんな不幸で「可哀想」なんて、なんで決め付けることができるのか。

ある人にとっての「後ろ」は、ほかのだれかにとっては「前」かもしれません。
私にはこの主人公と犬が、幸せだったかどうかはわかりません。
だから冒頭に書いたように「可哀想」とは絶対に言いません。

ただただ

切ないのです。

こんな世の中が、私は悲しいのです。


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テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

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Re: No title

コメントありがとうございます。
そうか…そうですよね。
色々な事情がありますものね。ひと括りにした言い方をしてしまってごめんなさい。
この本では、家族の心境の変化などは細やかに描かれていなかったので個人的事情は抜きにして語ってしまいました。
ただ、同じ離婚するにしても、もう少し相手に思いやりがもてないものかというか、主人公がそこまで酷い仕打ちをされるような悪人じゃなく、むしろ真面目でとてもいい人だっただけに、あっさりとそんな決断ができてしまう今の世の中の風潮を、少し悲しく思ったのです。
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日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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