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ぼくのメジャースプーン

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)
(2009/04/15)
辻村 深月

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主人公の「ぼく」には、とある"力"がある。

○○をしなさい。さもないと××になる

そんなふうに、言葉で条件を提示することで相手の行動を縛ることができるという特殊な能力。
私はSFが好きなので、今まで色んな超能力を見てきたけれど、こういう能力には初めてお目にかかった。
…っと思っていたら、「子どもたちは夜と遊ぶ」の秋先生が同じ能力者として出ているじゃーないですか!
ああ、あの時のアレはそういうことだったのねん
と、こっちを読んで今更ながら、秋先生の仕掛けたマジックに気付いたり。
ふだん穏やかに見える人ほど怒らせると怖いのね。
まぁ、でも「子どもたちは夜と遊ぶ」を未読でも全く問題はない。
読んでいたほうがもちろん楽しめるけど。

さて、その能力。
使いようによっては、人を陥れることにも使えるし、最悪相手を殺すこともできる。
しかも自分の手を一切汚さずに。それは一種の呪力とも言える。

だれにでも優しく、穏やかで、とても頭の良い女の子「ふみちゃん」。
歯の矯正具をつけ、眼鏡をかけていることで、自分が人より美しくないことを自覚し、万事に控えめなため、他人にいいように利用されることもあるが、決して怒らず、いつも笑顔を絶やさない、とても心根の良い少女。
ふみちゃんは、大切に育てていた学校のうさぎを、心無い男によって残虐な方法で殺され、それを目の当たりにしてしまったことで、心が壊れてしまう。
大好きな「ふみちゃん」を傷つけ、心をふみにじった憎い犯人に罰を与えるため、その"裁きの力"を、主人公の少年はどのように使ったのか。

メジャースプーンというのは、ふみちゃんがいつもキーホルダー代わりにランドセルに付けていた、うさぎの柄が施された3本一組の計量スプーンを指している。
ふみちゃんからもらったそのうちの1本を、「ぼく」はお守りのように握り締め、犯人に与えるべき"罰をはかる"。
秋先生は言う。

「さじ加減というのは、大事なんですよ。注意深くやらなければ、用意した材料もかけた手間もすべてが台無しです」

けれど、そもそも人が人を裁くのは正しいことなのか。
たとえば、うさぎを殺すことはいけないというけれど、では蚊を殺すことはどうなのか。
命の重さはうさぎも蚊も同じではないのか。
そして、罰とはなんなのか。
社会が溜飲を下げるために与えられるものなのか、それとも罪を犯した者に自らの罪を悔い改めさせるためにあるものなのか。

秋先生とたくさんたくさん話をし、考えに考え抜き、犯人に与える「罰」を決めた「ぼく」。
「ぼく」の出した結論に、私は正直、頭をガツンと殴られたような気がした。
戦慄を覚えた。
なんて真っ直ぐで純粋なのだろう。
「ぼく」の、ふみちゃんに対する深い愛情に涙があふれて仕方がなかった。


前にも書いたように、辻村作品はあちこちで登場人物がリンクしている。
「名前探しの放課後」のトリック(?)は本書を未読の場合、わからないようになっている。
わからなくても、問題ないといえばないけれど、面白さは半減するだろう。
そして、前述のとおり、「子どもたちは夜と遊ぶ」の謎のひとつが本書で明らかにされている。
そういうのを少しずつ繋げて考えるというのも、辻村作品を読む楽しみのひとつである。

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テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

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こんばんは!

この作品、以前新聞の書評に載ってて、
書評者・石田衣良が大絶賛してた。
YA(青少年)本なのかなあ?
面白そう☆

Re: こんばんは!

辻村深月では、これと「凍りのくじら」がオススメです。
YAと言われて、あっそうか!と思いました。
読んでるときは全く考えなかったんだけど。
でも、どちらかと言えば、私は大人に読んでもらいたいなぁと思います。
良作です、とても。

No title

どうもです。

「ぼく」は本当にまっすぐで純粋で、そして悲しいくらいに不器用ですよね。

『名前探しの放課後』とリンクしてるんですか。
まだ読んでないので楽しみにしておきます。

私もぜひとも大人にも読んでもらいたいと思います。

gakerさんへ

> 『名前探しの放課後』とリンクしてるんですか。
そうですそうです。
あんまり言っちゃうと興ざめになってしまうんですが。
『名前探しの放課後』も是非読んでみてください。
どちらかと言うと私は『ぼくのメジャースプーン』のほうが好きですが。
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Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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