スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

阪急電車

阪急電車 (幻冬舎文庫)阪急電車 (幻冬舎文庫)
(2010/08/05)
有川 浩

商品詳細を見る

阪急今津線は、あのあたりに住んでいる私にとって、これまでに何度も利用したことがある馴染深い路線である。
とはいえ私は今は阪急ではなく阪神沿線に住んでいるのだが、下町のニオイがぷんぷんしている阪神とは違い、阪急は、山の手を走っているだけあってどことなく落ち着いていて、ちょっと高級感がある。
電車の色や内装も、同じくおっとりした感じ。
なので、感情的になる画面が非常に多く描かれるこの物語の登場人物たちは、私には"阪急を使う人"としてはかなり違和感があった。
あんなに感情をむき出しにしているような場面は、少なくとも私は阪急電車内では見たことがない。
阪神電車ではしょっちゅう見かけるが(苦笑)。
結果として、非常に残念なことに、阪急らしさが微塵も感じられない。
唯一「小林駅」だけが、"らしさ"を醸し出してはいたが。

これって、舞台は別に阪急今津線じゃなくてもいいのでは…

というのがいちばん初めに感じたこと。
結構致命的欠陥ではなかろうか。

まぁそれは、単なる私見であり、私にとっては致命的でもお話自体が面白けりゃ別に文句はない。

実はこの本は2度読んだ。
最初に読んだとき、
「面白くなくもない。しかし何か引っかかる。」
という漠然とした違和感があり、そこには単に阪急らしくないからという言葉だけでは済まされないナニモノかが潜んでいる気がしたのだが、上手く言葉に出来ずそのままになっていた。なので感想も書かなかった。
書けばなにやら「この外道めが」とよってたかって袋叩きにされそうでちょっと怖かったというのもある。
それぐらい正論に満ちたお話なのだもの。

それが、この小説がこのたび映画化されるとのことで何やかやと話題にのぼり、ムスメが「面白かったよねー」と話しかけてきたので「うーんそうかな」と応じたところから、色々考察するに至った。
で、もう一度読んでみた。

別にほっこりもしないし心にも沁みない私って…。
どんだけヨゴレてるんだ?
というかね、正しくありたい、という気持ちはとっても良いとおもうんだ。
だけどそれって、人の道に外れたことをすると他人から白い目で見られるからそうありたいと思うもの?
なんだかね、この物語の登場人物たちって、どいつもこいつも「人が見たらどう思うか」ってそればっかり。

私は電車の中でヒマなとき、しょっちゅう妄想をする。
前に座った人を主人公に見立てて色々楽しいストーリーを組み立てて心の中で一人でにやりとしたりする。
(文章にするとかなりアブナイな…)
でもそれは妄想だからこそ面白おかしいのだ。そこに重い現実を持ち込んじゃいかんのだ。
このお話は、妄想にしてはやたらと現実的なお話のクセして人物がステロタイプで薄っぺらい。
一方向からのみ見ているのだから仕方ないけど、「こちら側にいる人」はみんな善人で「あちら側にいる人」はみんな悪人なのかい?
会ったばかりの婆さんに「くだらない男ね」と切って捨てられた男にも、色々言い分はあるだろうに。
確かにね、赤の他人のたった一言で救われたり変われたりって、それはあると思う。そこは認める。
だけど、世の中見えている部分が全てじゃないし、私だったら、ひと目会っただけの人のことをそこまで悪く言う相手の言葉を取り入れたりしない。ていうか、相手のオンナだって見かけに踊らされた、かなり安い人間じゃないか。
いやいや、これはきっとひっかけなのだ。まだ後半があるじゃないか。折り返しでは、たぶん立場を逆転した新しい展開があるに違いない
…と期待していたんだけどね。
折り返しは、前半の人物たちのその後が描かれるのみ。
うーん…なんともはや…。
というのが、再読後の感想。初読時のもやもやの原因がはっきりしたのみ。
人間って、そんな薄いものなのかい?
電車で出会った人々が織りなす人間模様、という着眼点はとても良いのだけど、それならば人物にもう少し深みがほしかった。

最後に、苦言ついでに苦情をば。
阪急今津線は、今津が終点なんだけど?
確かに西宮北口でいったん途切れるけれども、今津線というぐらいなんだから、きっちり阪神国道と今津も書いてほしかったなー。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村
↑よろしくお願いします
関連記事
スポンサーサイト

テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

No title

おお、タイムリーな本です。
阪急今津線を利用したことの無い自分にとっては、ほんわかとする物語で非常に楽しめた小説でした。けれど、実際に今津線を利用したことがある場合だと、リアリティがあるため違和感を感じるものかもしれませんね。確かに、阪急今津線でなくても成立する小説とは、致命的です。ワハハ。
そういえば、ミスチルの「くるみ」は名曲ですが、あれも「くるみ」でなくてもいいのではないでしょうか。

そして、私のブログに道楽猫さんのブログをリンクさせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。

こんー

僕も地元は阪急沿線なのでちょっと読みたい気もしてるんですよねー^^まぁ使ってたのはほぼ京都線ですが^^;;
あと、ミスチルファンなのでジャイさんに一言(笑)「くるみ」は「くるみ」じゃないと駄目なんですよ。あの「くるみ」というのはくるみじゃなくって「くるみらい」に向かって唄ってるので。あとPVと連動して聞くと腑に落ちます^^

ジャイさんへ

そうですねぇ。
私も余計な先入観がなければ単純に楽しめたのかもしれません。
というか、きっと作者の価値観と私のそれが違うのかも。

リンクありがとうございます!
勇気を出して言ってみてよかったです。
今後ともよろしくお願いします。

チルネコさんへ

なんか知ってるだけに単純に読めなかったんですよねー。
そういう意味ではちょっとソンしてるのかも。
ミスチルはいいですよね。私も大好きです。
まぁそうは言っても最近のはあまり良く知りませんが。
「くるみ」ってそういう意味だったんですかΣ( ̄□ ̄*)
私…くるみに話しかけてるんだとばっかり(・_・;;
んで、何故くるみ…とちょっと思ってました(笑)。

No title

チルネコさん、ありがとうございました。
くるみにはそういう意味があったのですね。ずっと誤解していました。
道楽猫さんと一緒で、なぜ「くるみ」に話しかけているのか、と。
youtubeでPVを観てしまいました。ラストがいいです。これほどまでストーリー性のあるPVだったなんて。
にしても、「くるみ」の正確な意味を知っている人と知らない人、どちらが多いんだろうかと考えてしまいました。

「阪急電車」の映画、ロケ地は当然ですが今津線界隈ですね。もしかすると、完成した映画を観ると、小説の舞台であることに納得いく可能性があるかもしれません。視覚を絡めてみると、また違った感覚で小説の世界が楽しめるのでは。「くるみ」のPVを観て、そう思いました。

No title

差し出がましいかとは思いましたが、ミスチルファン魂が口を挟んでしまいました^^;よくくるみは誤解されてるので、お二人にも真意を知っていただけて嬉しいですwラストもいいですよね!あのラストが実はミスチルのバンド名決定の瞬間の実話を元にしたものなのですよー♪
でも確かにジャイさんの仰るとおりくるみの本当の意味を知ってるのは、ファンくらいだろうなーとは思います^^。
道楽猫さんのブログでミスチル話ばかりして申し訳ないです^^;;;

この作家さんの他の本が読みたい(笑)

この小説、映画化されるんですね。

やっぱり「そうそう!阪急ってまさにそう!!」って地元の人が納得するストーリーにしてほしかったですね。。。おしいねぇ。

しかし有川浩さん、人気ですね。ぜひ一度読んでみたい作家さんです。

話題のミスチルのPVも観たいです^^

ジャイさんへその2

そうですねぇ。視覚を絡めれば或いは…。
女優さんたちもきれーなので、そこに期待(?)しています。
そうそう、「くるみ」のPVはストーリー性があって面白いですよね。

チルネコさんへその2

ファン魂は、かつてとあるバンドの大ファンだった私にはよっくわかります(笑)。
(ミスチルの桜井さんともちょっとご縁のあるバンドです)
思い込みを訂正していただいてありがたいです。
「くるみ」大好きな曲なんですよー。「掌」と共に当時よく聴いてました。

読書系女子さんへ

そうそう、映画化されるんですよね。
ジャイさんも言われてましたが、映像化されるとまた違うかもです。
でも、文章でそれを描ききることこそ文筆家たるもの…ぶつぶつ(と小声でつぶやく)

有川さんは、ハマるととことんハマるらしいですよ。
私は昨日「植物図鑑」を読み終えましたが、なんかその言葉、納得でした。
アメーバなう
オススメ
プロフィール

道楽猫

Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム
メールはこちら>>

*上(別窓)のメールフォームが表示・動作しない場合はこちら

検索フォーム
今読んでる本
dorakunekoの今読んでる本
リンク
つぶやき
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

BK1
書評の鉄人
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。