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キケン

キケンキケン
(2010/01/21)
有川 浩

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最近この人の本ばっかりだなと自分でも思うのだけど、それは単にムスメが図書室で借りてくるから読ませてもらっているだけであって、別に私が有川浩が特別好きだからとかそういうわけではない。
同時に、今流行りの西尾維新も借りてきてくれたけれど、これはダメだった。
まったくもって受け付けない。何ページ読んでも兄と妹の不毛な会話が延々と続くばかりでお話がちっとも進まない。
もう少しガマンすれば何か面白い展開があったのかもしれないけど、そこまでの根性は私にはなかった。
私はキャラ萌えの得意なオタク属性の人ではないので、こういう、作者がキャラに頼ってファンに甘えたような小説は大嫌いなのだ。
まるで同人誌の二次小説を読まされているようで苦痛以外のナニモノでもなかった。ああだるい。

話が大幅に逸れました。

本題に戻します。

「キケン」…それは「成南電気工科大学機械制御研究部」の略。
そして、その名に違わずキケンなニオイのぷんぷんする面々が繰り広げる工学系男子の青春群像劇。

…を書きたかったようです、作者は。


それはともかく。

大学って面白そうだよなぁ。

実は私は大学ってところを知らない。
高校生当時がちがちにド真面目で、ある意味非常にとんがっていた私は、周囲が「もっと遊びたい」と公言して憚らず、「どこでもいいから入れる大学を」と血眼になっているのをナナメに見て、そんな友人たちを内心小ばかにしていた。
どうしても学びたい何かがあるわけでもないのに、ビンボーだった我が家にそれ以上の負担を強いるのもイヤだったし、私はそれより手っ取り早く自分のものになるお金が欲しかった。ので迷わず就職の道を選んだのだ。
高卒が今ほどハンデにならない、古き良き時代ではあった。

けど今にして時々ぼんやりと思うのだ。

ああ、大学行ってみたかったなぁ。遊びだとかモラトリアムだとか、私はバカにしていたけど、どれもほんとはムダじゃなく、キラキラと輝いて、やがてその人の血肉になってゆくんだろうなぁ、なんて。

もちろん、今からだって大学に行くことはできる。
だけど、全ての物事には間違いなく"旬"があるのだ。
"旬"には躍動があり力があり、その時にしか味わえない何かがある。
どんなにあがいても、私にはもう手に入れられない刹那の輝き。

だからこういう大学生活を描いた小説は基本的に好き。
ふだんあまり意識していなかったけど、私は小説を読むことでそういう気分を疑似体験をしているのだろうと思う。

だけど、この本はなーんか違うんだなぁ。
むさくるしさとか暑苦しさがあんまり感じられない。
女性が書いた"つくりもの"の工学系男子という感じ。
だって、現役大学生男子が自分たちを指して「男の子」なんて言うだろうか。
今の草食系なら言うかもだけど、むさくるしさを醸し出したいなら絶対に「男たるもの」「男子たるもの」だろう。
で、私も工学系男子を身近に知っているけども、もっと「マニアックでオタク」だ。
"機械類に関してのみ"実にちみちみとこまっかい、はたから見れば実にどーでもいいことにこだわる。
その、機械オタクらしいこだわりがあんまりなくて残念。
その割にラーメンにはやたらとこだわりを見せ、細かい手順だとか試行錯誤ぶりを熱く語ったり。
なぁぁぁんか、方向性間違ってねぇ?
という強い違和感があった。
何より、「ユナボマー」が活躍してないし!
「爆弾好き」というのはいったいなんのための設定だったのやら。
ロボット相撲にしたって、あの結末はイカンよ。
ルールの穴をつくとか、なんて卑怯くさい。ケツの穴ちっちゃ過ぎでなんか読んでてしょぼんとしてしまったよ。
「爆発炎上は男のロマンだぞ」
なんて言うならもっと奇想天外にはじけてくれよ。
ボールペン銃のエピソードも結局「俺たちこう見えて良識あるんだぜ」で終わりってアンタ…。
不発過ぎだから……。

結局「このヒトこーゆーキャラなんですよ」というキャラ紹介と「キケン」部はこういう部なんですよという説明のためのエピソード集で終わっちゃった感じがする。
エンディングもお約束過ぎで、作者の「どや顔」が見えるような展開に、私はただただ白けるばかり。

またもや最後まで、何のニオイも感じられないまま。
圧倒的な現実感のなさに私は一人置いていかれてしまい立ち尽くすしかなかった。


相変わらず我ながら毒舌だなぁ。
決して嫌いなタイプのお話じゃないんだ。だからこそ、ここまでの筆力のある作者だからこそ、残念だと思ってしまうのだ。
有川さんにはほんっと
「すまないと思っている」(「24」のジャック・バウアー風に)

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テーマ 書評
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No title

>工学系男子を身近に知っているけども、もっと「マニアックでオタク」

いやいや、工学系男子がみんなオタクと言う訳ではありません(笑)
でも、ものづくりは、オタクパワーが必要なのでしょうね。

No title

道楽猫さんのレビューを読むと、自分が全く読んでいない本なのに、小説の中身が透けて見えてくるようです。この記事に限らずの感想です。そんな俯瞰的なレビューが大好きです。
と、私も話がずれました。
有川浩らしい、どことなく可愛くて、かつ分かりやすいストーリーのようですね。理系男子の生態は私も全く想像がつきません。読んで勉強してみようかなあー。
自分の周りにいる理系男子たちは、割とかっこいい部類に属しているような気がします。でも…外見だけだったりして♪

風竜胆さんへ

> いやいや、工学系男子がみんなオタクと言う訳ではありません(笑)
ああ~、それはそうですよね。誤解を招く表現でした。すみません。
ただ、少なくともあの物語に出てくる「キケン部」は機械オタクが揃っているというのが前提かな、と。
で、それだと、コダワリという部分で弱いかなぁと思ったのです。
最後の方でそれらしき部分がちらりと出てはくるのですが、大雑把にしか語られないのがなんだかなぁ、なんです。

ジャイ さんへ

> 有川浩らしい、どことなく可愛くて、かつ分かりやすいストーリーのようですね。
おおっそうか、そうですよね。
そんなふうに私も書けばよかった。
どうも私は自分がつまんなかった本に対しては表現が半端なくキツくなってしまうようで反省です。
他の方のレビューを読むと概ね好評のようなので、ちょっと甘めの本なんだという前提で読めば楽しめるかもしれません。
私は自分が思いっきり文系なので、理系男子にはものすごくアコガレます(笑)。
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Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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