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さよならバースディ

さよならバースディ (集英社文庫)さよならバースディ (集英社文庫)
(2008/05/20)
荻原 浩

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バースディというのは、ボノボという種類の、一匹の猿に付けられた名前。
東京霊長類研究センターでは、彼に人語を教え、言葉によるコミュニケーションを試みる「バースディ・プロジェクト」が実施されていた。
ところが、このプロジェクトの初代代表が突然自殺し、後を任されることになった主人公の恋人もまた、主人公からプロポーズをされた当日の夜に、バースディが見ている目の前で、センターの5階の窓から落ちて死んでしまうのだ。
結局彼女の死もまた、自殺という判断が下されるわけだが、それに納得がいかない主人公は、僅か100語に満たない言葉しか習得していないバースディに、事件の夜のことを聞きだすべく孤軍奮闘する。
そんな頃、主人公の元に、死んだ恋人から一枚のDVDが送られてくる。
そこには死んだ恋人からの、とあるメッセージが隠されていた。やがて、唯一の目撃者バースディにより明かされる悲しい真実とは。
そして、所長からプロジェクトの終焉を告げられた主人公とバースディの行く末は如何に。

動物実験について語るには私には知識が足りないしどうしても偽善的になってしまいそうなので、バースディプロジェクトの是非については特に触れない。

しかし、この物語、主人公とその恋人があまりにも誠実さに欠け、その点に於いて実に腹立たしい。
バースディの行く末を案じ、彼を生まれ故郷(いや、彼は日本で生まれているので、母親の故郷ってことかな)に帰そうとした人物を毛嫌いしていたくせに、いざどうしようもなくなったら、手のひらを返すように彼にすり寄り、「実はずっとアンタのこと好きだったんだぜ」みたいに豹変する主人公。
生きているうちに何も行動を起こさず、死んだ後にとんでもない形で真実を告げる恋人の由紀。その死に加担させられたバースディの胸中を思うと胸塞がれる思いがする。
所詮猿には人間のような細やかな感情がないと思っているからあんな酷いマネができたんだろうね。
彼女の行動には決定的に思いやりというものが欠けていて、読んでいて怒りを禁じ得ない。何が、どこが純粋なんだか。

そんなこんなで、物語中で悪役として描かれる人物のほうがよほど首尾一貫しているという始末。
なんだかなぁ。

ただ、バースディの言語習得能力に隠されたトリックは面白かった。
面白かっただけに、いっそうバースディが哀れでならないわけなのだが。
感情を込めず、淡々と筋だけを追うのなら、とても面白いお話だと思う。

私には、とても出来ない芸当だが。


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日々子育てに仕事に大忙し。
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