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ジェニィ

ジェニィ (新潮文庫)ジェニィ (新潮文庫)
(1979/07)
ポール・ギャリコ、Paul Gallico 他

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自他共に認める遅読の私でも、年月を経るにつれ所蔵本は溜まる一方である。
そのうち整理しなきゃと思っているのだが、どんなにたくさんの本を手放すことになっても、これだけは絶対に手元に置いておきたいと思っている本が数冊ある。
この「ジェニィ」もそのうちの一冊に加わった。

私はジェニィが愛しくて愛しくてならない。できればずっと胸に抱いて、死んだらこの本と一緒に葬ってほしいぐらい。

猫好きの少年ピーターが交通事故に遭い、気が付いたら猫の姿になっていたところから物語は始まる。
家から放り出され、慣れない猫の身でなにがなんだかわからないうちにあちこち彷徨い、果てにはボス猫にやられて瀕死の状態で横たわっていたピーターを救ったのが、一匹の雌猫「ジェニィ」だった。
ジェニィは、「ぼくは実は人間なんだ」というピーターの言葉に驚きながらも、何も知らないピーターに猫の掟を叩き込む。
ねずみの捕え方。正しい身づくろいの方法。そして何かあったら身づくろい、何はなくとも身づくろいという猫のたしなみ。ほおヒゲが教えてくれる正しい方向。
作者は、実はピーターのように猫だった時代があるのじゃないかと疑うほどに猫の描写がリアルで驚かされる。
猫好きならもれなくうっとりすること間違いなし。

その後の二匹の心躍る冒険譚は、終始ピーターの視点で進んでゆく。
ジェニィは、ピーターにとってもちろんかけがえのない唯一の存在ではあったが、家庭の愛に飢えていた彼には、それはどちらかと言えば惜しみない愛を与えてくれる母であり、姉という対象だったように思う。
しかしジェニィにとってのピーターは…。

これは私の持論なのだが、男はいくつになっても、いや死ぬまで子どもだけれど、女は最初から女で死ぬまで女なのだ。
ジェニィを「理想の女性像」と評する男性の声は多いけれど、ジェニィの献身と寛大さを見て単純にそう思っているのだとしたら、それは随分浅墓な考えだと私は思う。

ピーターを待っていたジェニィの心はどうだったのか。
ただ穏やかに、愛する男の帰還を待っていたと思うのか。

手酷い裏切りに、傷つかないものはいない。
相手を愛していればいるほど、その傷は深く、癒されがたいものとなる。
ジェニイは別に聖母でもなんでもなく、ただの女である。
強い愛情は、時に憎悪をも呼び込む。
私は、ジェニィは、女として、ピーターが許せなかったのだと思う。
愛情と激しい憎しみの念に引き裂かれたジェニィの気持ちを思うと、胸が詰まる思いがする。

それだけに、あのエピローグを、"大団円"といい、大人のファンタジーでしたで片付けてしまうのは、あまりに悲しく痛ましい。
自分が止むにやまれぬ激情の余り取ってしまった行動の結果に、ジェニィはきっと死ぬまで後悔し続けたことだろう。

一方、何も知らないまま、これからを生きてゆくピーター。
けれど、ピーターの心のどこか奥深くには、きっとずっとジェニィが住んでいるに違いない。そう信じたい。


日本で出版されたのは、もう随分前なので、訳文が少々古臭いのが唯一残念なところ。
出来れば、新訳で、再度出版していただけたなら、そしてもっと色んな人に、こんなにも素晴らしい猫がいることを知ってもらえたら、と心から願っている。

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テーマ 書評
ジャンル | 小説・文学

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No title

おお、面白そうな小説です。
猫好きレベルは「普通」の私ですが、読んでみたいと思いました。
男はいつまでも子供、女はいつまでも女。分かる気がします。

小説の中でのジェニィは、男性の考える「理想の女性」にストライクな性格なのですね。でも、道楽猫さんは、そんなジェニィの心底に隠れていた、どろりとした「女の本性」を感じることができたのでしょう。ジェニィは本当に「女性らしい」性格なのでしょうね。同性として、それがたまらなく愛おしくなった、と。

多分、私もジェニィに共感できそうな気がします。読んでないけど、きっと共感できる。そう思います。

ジャイさん

たぶんね、私のは深読みなんでしょう。
ちょっと探してみたけどそんな感想書いてる人ひとりもいやしないので(笑)。
だけど、どうしても、ジェニィの悲しい計略だった気がするんですよ。私には。
最後に敢えて「大団円」としたのは強烈な皮肉だったのではないかと。

ジャイさんの純粋な目で(・_・)是非読んで判断してください。
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Author:道楽猫
日々子育てに仕事に大忙し。
でも家事は忘れても(・_・)読書は忘れない。
そんな道楽猫が、日々の暮らしの隙間をぬって読んできた本の感想を留めたくて開設したブログです。

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